Adobe Illustrator(イラレ)では、バージョン9から「透明パネル」が追加されました。今回はそのなかの機能のひとつ「描画モード」について、描画モードとは何かやその使い方を説明します。「透明パネルのなかにあるのは知っていたけど、どんな機能かいまいちわからない」という方もいると思いますので、ぜひ覚えて活用してみてください。
描画モードは、簡単に言うと2枚以上の重なり合う図形や写真などのカラーをいかに混ぜ合わせるのを決めるツールのことです。上段オブジェクトの色(合成色)の透過率に応じて下段オブジェクトの色(基本色)が透けて見える仕組みのため、描画モードは透明効果のひとつに分類され、透明パネルに配置されています。
1、まずイラレを開いて、色違いの図形を2枚作成、もしくは画像を挿入します。そして二つのオブジェクトの位置を調整して上下重ねて配置します。本記事では画像1枚+グラデーション効果がかかった長方形を以下のように配置します。
2、上部メニューから「ウィンドウ」-「透明」をクリックします。これで「透明」パネルが表示され、ここで描画モードを選択できます。前面の図形を選択した状態で、透明パネルからいずれかの描画モードを選択すれば、即時に反映されますので、いろいろ選択して試してみてください。描画モードを適用する方法は、上記のとおりとてもシンプルです。
描画モードには全部で15種類あり、その特性に応じてグループ分けされています。
「比較(暗)」「乗算」「焼き込みカラー」は、合成色と基本色を重ねた時に色が足されていくため暗く見えます。
「比較(明)」「スクリーン」「覆い焼きカラー」は、合成色と基本色を重ねた時に色が引かれるため明るく見えます。
「オーバーレイ」「ソフトライト」「ハードライト」は、明るい部分と暗い部分でそれぞれ別のモードが適用されます。明暗の差がはっきりと表れるので、コントラストを強調したい場面で使用します。
「差の絶対値」「除外」は、基本色と合成色の明るい部分から暗い部分を引いて表示されます。そのため、白を重ねるとネガのように反転した色彩効果を付けることができます。
「色相」「彩度」「カラー」「輝度」は、基本色と合成色の明るさではなく、それぞれのモードの要素から色を変化させます。彩度を落としたり、色相を合成したりすることができます。
最後に、描画モードのなかからよく利用されるものを3つ紹介します。
基本色に対し、合成色が濃ければ濃いほど薄く表示されます。つまり、黒の部分は透過し、その下にある基本色の図形や文字がガラスを通して見たように光って見えます。
暗い箇所には「乗算」、明るいところは「スクリーン」が適用され、基本色の暗い部分はより暗く、明るい部分はより明るく表示されます。火や電球の明かりにぼんやりと浮かび上がるような演出ができます。
基本色の図柄を維持したまま、合成色の色や彩度をブレンドします。白黒の画像に好みの色やグラデーションをプラスすることができます。
いかがだったでしょうか。イラレの描画モードは15種類もあるので、すべての効果を把握して使い分けるのは難しいかもしれません。しかし常用のモードだけでも活用出来たら、デザインの幅は大きく広がります。描画モードの使い方自体は簡単で、左手デバイスTourBoxと合わせばより手軽に活用可能です。
描画モード以外、イラレの他の機能や操作もTourBoxによってコントロールできます。TourBoxのボタンは片手で全部操作できるように配置されていますので、キーボードより便利にイラレの各種機能を使いこなせます。イラレのショートカットやメニューをTourBoxに設定して、効率的なグラフィックデザインを体験しましょう。